SMX West 2009 メモ1

2009年2月10日~2月12日の日程で、アメリカ西海岸にあるSMX West 2009というコンファレンスに出席しています。
これは検索マーケティングでは最もポピュラーかつレベルが高いことで評価が高いコンファレンスです。実際GoogleやYahooもスポンサーに入っていますし、日本でも有名なMatt Cutts氏だけでなくインターネットの生みの親の一人Vint Cerf氏などのセッションもあって、なかなか素晴らしい顔ぶれです。日本でもこのようなコンファレンスができるといいなと思いました。

そういうわけで昼はコンファレンス、夜はビジネスパートナーの方々と食事したりメールをチェックしたりと忙しいのですが、少しずつ、現地より日本語で出席したセッションのメモをお送りしたいと思います。

リアルタイムで聞いたことをメモしているだけですので多少読みにくいところもあるかと思いますが、ご容赦いただければ幸いです。
なお、メモの中では【】内がセッションのタイトルで、Speaker:とあるのはそのセッションで話した人の名前と分かる範囲での所属です。

2/10のセッションメモ

【Keynote: Danny Sullivan】

Googleを他の検索エンジンに切り替える理由がなく、他が弱すぎる。競争はいつも必要だ。

Googleへの要望:
AdSenseのスプリットが分かるといい。結局広告主はメディアにいくら払い、Googleにいくら取られているのか分からない。
map spam? 何とかして欲しい。
Yahoo!への要望:
Search Monkey/Search Padのようなイノベーションを続けて欲しい。
※安川注、Search MonkeyはSERPsをマイクロフォーマットで整形する技術です。
何でもオープンにする必要はない。
Microsoftへの要望:
競争が重要、もっとしっかりやって欲しい。
ブランドを統一して欲しい。MSNだのLive Searchだの。
競合について:
Cuil - うまくいかなかった。
Powerset - Microsoftに買収されるべきだった。
Twitter Searchがあると面白い。地震や政治的イベントに対する反応などがすぐ分かる。
http://search.twitter.com/ にあるが、GやYにもあってもよい?
面白いサイトの紹介:
Uebanspoon (iPhoneを使って勝手にレストランを選んでくれる)
Eventful (iPhoneを使ってイベントをリコメンド。どっちにしろlocation awareな例)
Yelp (レビューサイト)
これらのサイトはGoogleの部分競合となっている。YouTube, Blog Search, Mapsなど。これらの結果はメインのGoogle検索結果にユニバーサルサーチとして含まれている。
SearchWiki:
場所、直前のクエリ、ヒストリ
今後パーソナライズ検索が進むことで、だんだんと一つのSEO戦略だけでは駄目になってきている。
SEOに関しては怪しい業者が多く、かなり有名な人まで誤解が広がっている。
John Dvorak, Seth Godin...
※安川注、私は実際にこの方々の発言を直接聞いたり見たりしたわけではないので評価できませんが、Dannyは「SEOを間違って解釈している」そうです。
SEOの名前を変えたほうがいい? Technical SEOなど?
on-pageコンテンツをサーチアーキテクチャに合わせて最適化すべき。
Crap Hat - 問題になっている。ゴミコンテンツなど。
これからはIn-House SEOの時代。In-House SEOとはサイトを所有する会社・組織内で、他のSEO会社や制作会社に頼らずSEOを行うこと。広告代理店は彼らをどのようにサポートするか考えるべき。
経済状況が悪化すると、今度はウェブ分析が重要になってくる。
新しい本を書く予定。サーチマーケティングのハイレベルな内容。他の広告やマーケティングとどのように違うのか。SEOの啓蒙が主目的。取材などをする予定。

【Technical SEO Issues for Developers】

Speaker: Maile Ohye, Google Webmaster Central

FRAME/IFRAMEはどちらもクロールされる。
FRAMEは親のページと一緒にインデックスされるが、IFRAMEは別のページとしてインデックスされる。またIFRAMEは親ページからPageRankをもらう。

サイトマップにおいて、すべてのURLとインデックスに登録されたURLの数は異なるが、これはGoogleの優先順位付けによるもの。重複したコンテンツは優先度を落とされるほか、新しいコンテンツや更新されたコンテンツについては優先的にクロールしている。

クローラーが動的URLをクロールする場合は、動的なURLを名前と値の組み合わせで認識するようにしている。
必ず名前と値の組み合わせのパターンを作るとよい。

※安川注、例えばanswer=3&topic=1というのがパラメータとして使われた場合、answer=5&topic=1というのは違うURLを意味し、逆にtopic=1&answer=3は同じURLを意味するようです。
実際には要確認ですが、大文字小文字やURLエンコーディング(%)の問題もあるので、擬似静的化がベストでしょう。

ショッピングカート、ログインページ、商品詳細ページなどからアクセスするお問い合わせページなど、アクセスするたびにURLが変わり、無限の組み合わせが出てくるようなページについては、可能であればrobots.txtでdisallowして欲しい。
"Maverick"(特殊な)URL規則を作らないこと。米国のeBayは非常に悪い例。それをやるくらいなら普通の動的なURLのほうがベター。

広げたり閉じたりできる開閉型のメニューを作るような場合に、ちょっとしたテクニックで現在のメニューの状況を0010のように、位置で覚えておくような仕組みはよくない。この例では三番目のメニューアイテムが選択されている状態。
セッションIDはクッキーに埋め込み、URLには入れないこと

クエリストリングやURLはすべてキーワードとして扱われている。
※安川注、この件について個別に質問したところ、日本語を含むインターナショナルドメイン名とインターナショナルURLステム(ドメイン名以下の部分)についてはまだGoogleとしてのガイドラインができていないとのこと。フィードバックを受け付けているそう。
URLはできる限り小文字を使用することが望ましい。robots.txtは大文字小文字を区別する。区切り文字はハイフンを使い、スペースを使用しないこと。

Speaker: Patrick Bennett, ModernBlue.com
SUMIA = Sitemaps, URLs, Meta tags, Infrastructure, Analytics

Speaker: Arnab Bhattacharjee, Yahoo!
このセッションは、YSTがクロールしやすいインフラのベストプラクティスを例示。

とにかくシンプルに。
静的ページ、意味のあるタイトル、シンプルな分かりやすいアンカーテキスト、サイト内のバランスの良いリンクは重要で、高評価につながる。スパムサイトにリンクしないように→ペナルティを受ける。

  • 画面に表示されないタグを使わないこと。
  • 不必要に多くのリダイレクトを使わないこと。
  • フラッシュやJavaScriptを使う場合、必ずクローラーのために<noscript>を使用してテキストを入れておくこと。
  • JavaScriptナビゲーションやメニューを使用する場合、補完的に静的なリンクを同じページ上に置いておくこと。
  • SearchMonkeyを使うことにより、マイクロフォーマットやRDFを使って、検索結果画面の表示をカスタマイズできる。
    英語では"yelp"というサイトがかなりのコンテンツでSearchMonkeyを採用している。
  • サイトマップをYahoo!サイトエクスプローラーで送信して欲しい。

Speaker: Michael Gray, Atlas Web Service

事例:
開発チームは高いスキルを持っていたが、検索エンジンフレンドリーなサイト作りについては知識がなかった。
最初、250000ページのうち、Googleは1000ページしか認識していなかった。UU=数百。対策後、UUは90000に。
?id=xxxxxという長いURLで、コンテンツをアップするたびにidは変更。
パートナー、サイト内広告のURLを301するように変更。その際にCookieに参照元IDを埋め込むことで対応。
※安川注、URL静的化に関する基本的な事例

【Local Search Marketing Tactics】

Speaker: Guy Yalif, Yahoo!
Search Monkeyを使って、オーガニックの結果にマイクロフォーマットSERPsを露出。
ジオターゲティングのキャンペーン(地域にのみ露出する広告)には地域名を入れなくてもいいが、ナショナルキャンペーン(日本全国に露出する広告)には入れる。

Speaker: William Scott, Search Influence
Barnacle SEO - GoogleやYahooのユニバーサルサーチに食い込め!

ローカルサーチの違い:
緊急度(水のトラブルなど)、サービスタイプ、場所

ローカルサーチは基本的にロングテール
Yellow PagesとLocal Directoriesに掲載する。リンクはそれほど重要でなく、名前、住所、電話番号が最も重要。地域のディレクトリには有料のものも多い。
Yahoo!Local, CitySearch, SuperPages, InsiderPages, Yelp, YellowPages, BrownBook、、その他多くがある。

タイトルとコピーにキーワードを入れる
自サイトの特定の地域のページにディープリンクをもらう、特にオーソリティ性の強いサイトからもらうと効果が高い。
地域でターゲティングしてSEOする場合、それほど狭いエリアに絞り込む必要はない。例えば州名+サービス名でも大丈夫だが、やはりサービスのタイプにもよる。

Speaker: Dennis Yu, BlizLocal
地域キーワード+Keywordで複数化する。dentist 80301のようにZIPコードを入れるのが米国では一般的。またPPCの場合はあまり多くの地域を使うわけにもいかないので、そのような場合は重要な地域を優先して対応する。
Yahoo!のSearch Submit Pro (PFI), Yahooの有料ローカルリスティングも利用価値が高い。
ローカルのブランドサイトとリンクすると効果的。
ソーシャルメディアも活用。FaceBook/MySpaceもかなりのトラフィックを生む。レポーティングツールも分かりやすい。
Twitter: カスタムバックグランドを活用。

Speaker: Matt McGee, Search Engine Land
[HyperLocal Blogging]
その地域に詳しい人に地域ブログを書かせる。特定の地域にターゲットして、地域ブログを作成。不動産サイト以外でも、地域に関連している業種ならトラフィックを得ることができる。
地域に加えて有名人などの名前を活用するのもよい。有名人がその地域を訪れたことなどを書く。「タレント名 六本木」など?
写真や動画を活用。

Speaker: Scott Dunlap, NearbyNow
その地域にいる買い物客をどうやって誘導するか。試着やお試しが必要な商材はオンラインでコンバージョンしにくい。
NearbyNowでは60000+ストアの商品データを地域に紐づけて管理。クリックされたら、NearbyNowのスタッフが電話して商品の在庫を確保し、引換券をオンラインで渡す。トラッキングはオンラインとストア両方で実施。
事例: Lucky Magazine - 商品が選択されたら、場所を特定し近くのストアで在庫を確保(電話)。その後メールやSMSで引換券を送信。
"It is in stock! And we have put it on hold for you!"
インストアセールスと組み合わせることにより、コンバージョンを二倍にできる。
※安川注、比較的大きいデパート・ショッピングモールなどの場所を対象に、ブランドの付いた商品をメインに行っているよう。

【Ecommerce Search Marketing Tactics】

Speaker: Ethan Giffin, Groove Commerce
キーワード、ユニークコンテンツ(ブログ、ハウツー、購入ガイド)、サイト内検索の活用、オリジナルの商品説明文

Speaker: Pete Olson, Amadesa
コンバージョンを向上させるには→エンドツーエンドでユーザーエクスペリエンスを管理、分析ツールを使用、SEM戦略にテストを活用。
キーワードとランディングページが一致していない場合(上位階層がヒットしたような場合)、リダイレクトで関連性の高いページを見せる。

Speaker: Jon Glick, Become
商品比較エンジン(CSE) - Google Product Search, Yahoo! Shopping, PriceGrabber, Pronto, TheFind, Becomeなど
Google Baseはタクソノミーを確定しないので使いやすく、データの要件が少ない。コストも無料。
CSEにフィードを送る際は税金と価格も明示して送信。
CSE(Comparison Shopping Engines)にカテゴリがある場合、マッピングを行う。
画像がないとCSEではランクを落とされる、またサイズはフルサイズのものを用意。
商品のブランド名はよくCSEにデータを送る際に忘れられるポイントなので注意。以前DELLのPCで"DELL"という言葉が商品データのタイトル部分に入っていなかったことがあった。

Speaker: Adam Audette, AudetteMedia
Speaker: Michael Stebbins, Market Motive

【Up Close With YouTube】

Speaker: Matt Liu, YouTube Google
YouTube: 1日に1億以上の動画が視聴されており、毎分15時間の動画がアップロード。Webプロパティでは4位、検索プロパティでは2位。
タイトル、Description、タグ(キーワードの詰め込みはしないこと)、コミュニティ機能を活用、他のウェブサイトに埋め込みなどを活用し、アクセスを上げる。特に他サイトに埋め込まれた場合のリファラーはYouTube側で解析されており、ランキングを決めるのに一役買っている。アノテーションを使うことにより、動画の上に文字を載せることができる。
YouTube Insight - 分析ツール。Discovery: キーワードも見ることができる。Demographics: 年齢、性別、地域。
Sponsored Videos - YouTubeのペイドサーチ (CPC)

Speaker: JC Longbottom, Performics
記憶に残る、変な動画が多くの視聴を集め、人に伝わりやすい。
YouTubeペイドサーチでYouTube内の検索結果の上位を占めることができる。
ブランドページを作らないと、せっかくイベントの際などに多くのユーザーがYouTubeで検索しても結果としてあまり意味のないユーザーコンテンツが増殖してしまう。例えばデニーズが無料朝食のキャンペーンをやった際、YouTubeには多くの列に並ぶ人々の動画のように、提供側が見せたいものとは異なるコンテンツがより上位に来てしまっていた。ブランドページを作ればそちらが先に表示されるので、そのような問題を防ぐことができる。

Speaker: Drew Hubbard, SEO←会社名?
YouTubeチャネルとプロファイル - ここに二ヶ所リンクを置ける場所があり、一つはディープリンクにできる。またタイトルや説明文はキーワードを意識して書く。特殊なキーワードを複数のビデオに入れておくとRelated Videosが出る。
コメントは許可しておいたほうがいい。
検索ワードに"video"が入りそうなものには、動画のタイトルに"video"という言葉を入れたほうがいい。ユニバーサルサーチを狙う。
動画の説明にリンクを入れる際は一番上に。そうすることによってMore Infoの裏にリンクが行ってしまうことを防ぐ。
サムネイルは1/4, 1/2, 3/4サイズで作成される。このサイズで最適化すべき。サムネイルがよくないとCTRが劇的に下がる。
サブタイトル(字幕)を使うと検索のロングテールに効果がある。
ブランドをアピールするため透明なブランドロゴを動画の編集時に入れておくとよい。
不動産のようなデータについては、YouTubeを使ってMapsとインテグレーションする。

Speaker: Jonathan Mendez, RAMP Digital
comScoreのクエリベースで行くと、YouTubeは26億クエリでGoogleの76億クエリに次いで二位。三位はYahooの24億クエリ。
オバマはYouTubeチャネルを持っている。これは、"政府の見解はNBCで放送する。他のテレビ局では放送しない。"というのと同じくらいすごいことだ。
ジョークや変なものは動画の視聴率を劇的に上げる。
Gary Buseyという人はビジネス関係のビデオを41個アップしている。
キャンペーンはよいが、継続可能かつ測定可能なものにすべき。

SMX West 2009 メモ2へ続きます。

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