SMX West 2009 メモ2

2009年2月10日~2月12日の日程で開催された、アメリカ西海岸はSMX West 2009というコンファレンスの2日目のセッションメモをお送りしたいと思います。
昨日に引き続き、現地でメモした内容をできるだけ分かりやすく編集してお送りしますが、聞き取りながらとなりますので多少の抜けや省略はご容赦いただければと思います。

コンファレンス会場はHyatt Santa Claraというホテルの横に併設されているSanta Clara Convention Centerという場所でした。
会場中に無線LANの電波が飛んでおり、無料で利用できるのはいいのですが、会場内にコンセントが非常に少なく、ノートパソコンのバッテリーを充電するのが大変でした。パソコン用の電源については、次回以降改善していただけるといいなと思います。

2/11の夜はDanny Sullivanと夜、バーで少し話をしました。
例のGoogleの有料リンクスパム事件についてはすでに知っており、「アンカーにキーワード入っていたのもあるの??」と大変驚きを隠せないようでした。

2/11のセッションメモ

【Keynote Conversation: Vint Cerf, Google】

世界で電子商取引が広がるに従って、世界共通の電子商取引に関する政策が共通に必要となってくる。特定の国の人がスパムを発信し、特定の国の人々をターゲットにするようなことはあってはならない。

GoogleだけではなくAmazon, Microsoftなどもクラウドコンピューティングに参入してきているが、それぞれのクラウドは相互に互換性がない。

検索の将来はどうなる?
マルチメディアサーチもだが、今後は検索サービス側が意味を理解して、検索結果としての文書や「ページ」でなく、「答え」を提示するようになるだろう。

IPTVも動画コンテンツの途中にいきなり広告を出したりするのではなく、商品が動画に出てきたらさりげなくリンクを埋め込んでおき、興味を持ったユーザーのみがそれを操作すると反応できるように、視聴者にもっとコントロールを与えてもいいのではないか。

惑星間ネットワークについて。
すでにGoogleも参加して3ヶ所に設置されている。TCP/IPは長距離では使えなかったため、別のプロトコルを開発し、NASAのディープインパクトに搭載している。

Googleの次の10年とは......もしかしたら、過去のアプリケーションをVMなどの方法により保存し、将来の世代の人が現代に生み出された情報資産にアクセスできるようにすることが必要なのかも知れない。

【Google's SearchWiki, Customized & Personalized Results】

Speaker: Corey Anderson, Google

SearchWikiは検索者が明示的に検索結果を変更するのに対し、パーソラナイズ検索は検索者の背景を活用して暗示的・自動的に行われるもの。
SearchWikiにより、検索結果に対して追加・削除・順位変更・コメントを行うことができる。

ユーザビリティ調査を行ったところ、結果として、検索行動のかなりの部分が再検索であったということが分かった。ユーザーは検索結果を追加したり、削除したり、順位を変更したり、コメントしたがった。

SearchWikiの目的
  1. ただのブックマーク
  2. 特定の名前を検索した場合の結果の改善
  3. 特定のタスクに対する情報の効率的な収集
  4. 見つけにくい情報を見つけやすくする

の四点。

現時点では、SearchWikiの検索結果画面のURLは他の検索結果画面と共通のため、Webサイト側で識別することができない。ただし、「SearchWikiのすべてのコメントを見る」をクリックしたほうの画面ではswm=2がパラメータについているため、リファラーで区別することができる。

コメントスパムやセキュリティに対しては、最大の注意を払っている。現時点でセキュリティホールはないと考えている。なおそのためか、SearchWikiはGoogle内で最大サイズのAJAXアプリケーションになっている。

Speaker: Bryan Horling

パーソナライズ検索:
ユーザーにとって正しい検索結果を返すためには、ユーザーのコンテキスト・背景を理解する必要がある。しかし、ユーザーの検索行動に関する情報の収集は、透明性・コントロールの点から、プライバシーに十分配慮して行う必要がある。
パーソナライズ検索が利用された場合には検索結果の画面右上に、地域とWeb履歴からパーソラナイズが行われているメッセージが表示される。
地域ローカライゼーション:
metro(中心部)という考え方もある。
例として、San Francisco metro area=サンフランシスコ中心部。
Web履歴:
Ethan Allen(米国の家具ブランド)を検索してからJordanを検索すると、Air Jordan(ナイキの靴)より家具のJordanが上に表示されるようになる。
Preferred Sites:
自分の好きなサイトを登録できる機能。他の人にもリコメンドされる。

パーソナライズ検索の導入の結果により、独自性の高くユーザーに役立つコンテンツがより求められるようになる。
検索エンジンに対してコンテンツを作るのではなく、ユーザーのためにコンテンツを作るべき。

&pws=0をパラメータにつけたり、Web履歴をOFFにしたりすればパーソナライズ検索をOFFにできる。
パーソナライズ検索が適用されている割合は公表できないが、地域によってかなり異なる。それほど多いわけではない。全検索結果の数%?

新しいサイトができた時、パーソナライズ検索が使われていると見れなくなるのではないか?
そんなことはなく、すべてのページはキーワードに対してある順位を持つとすると、パーソナライズ検索はそれを少し変更するものである。

【Advanced Landing Page Strategies】

Speaker: Jonathan Mendez, RAMP Digital

ランディングしたキーワードの条件によってランディングページの表示を変更することで、コンバージョンを向上させることができるため、積極的に行うべき。
「romantic hotel in santa barbara」で、ランディングページはホテル検索画面なのだが、ページをロードする際に[X]Romantic Hotelにチェックボックス、地域[Santa Barbara]のように画面表示をカスタマイズ。これによりユーザーがPPCをクリックして、検索に使ったキーワードの意味が画面に反映されているため、直帰率が低下する。

Speaker: Scott Brinker, ion interactive

Cycle Speed, Targeting, Coordination, Testing, Creativeがランディングページのマネジメントの上で重要。

Cycle Speed
=どのくらい短期間で作成できるか。
ランディングページの制作プロセスやシステムを標準化すべき。CMS、コンテンツのライブラリ、再利用可能なデザインテンプレート、承認プロセス、標準化されたフォームによるデータ入力・収集など→これらにより、1日で新しいランディングページはリリース可能。
Targeting
=視聴者のセグメンテーション。
セグメントの詳細度を戦略的に決める。例えばキーワードやアドコピー、2ステップランディングページを使ってセグメント化するなどがある。1ページ目の1クリックだけでセグメント化して次のページを出すことで、2ページ目をよりしっかりターゲットしフォームの入力項目を減らすことができる。
例としては、業種ごとに調査レポートを販売するような用途において、ランディングページ1ページ目で業種を分かりやすく選択させ、次の画面ではその業種に特化した画面構成でコンバージョン率を高めることができる。
Coordination
=クエリ・アドコピーとランディングページがきちんと連動していることを確認。
(潜在顧客に伝える)メッセージマップというものを作り、検索マーケティング側とランディングページ側が、それぞれのクエリ・アドコピーに対してどのようなメッセージを伝えるのか合意しておく。可能であれば同じチームがよい。
Testing
=細かい画面の内容をいじるのではなく、大きなアイディアベースでテストを行っていく。
さまざまな仮説を立て、それを検証していくプロセスが必要。
Creative
=単純な文字だけのランディングページはもう時代遅れ。
変わったものを作ったり、複数ページを使ったり、Flashを部分的に使うべき。

Speaker: James Zolman, semvironment

1ページ目で郵便番号や性別を入力させてセグメント化したり、IPアドレスでジオターゲティングを行ったり、ランディング時のキーワードで動的なランディングページを作成する。

だめな例:
ブロードマッチ、コンテンツネットワーク、文脈の三点に注意。
ブロードマッチ:
bathroom remodeling(お風呂のリフォーム)は、検索エンジンによってはトイレ関係と理解され、clogged toilet repair(トイレの詰まり修理)でランディングすることがある。
コンテンツネットワーク:
ほとんどの場合デフォルトのキーワードが使われ、一般的なランディングページが表示される。
文脈:
同じ意味を持つ別の言葉に注意。
うまくいくコツとしては、
  1. ネガティブなキーワードに注意
  2. 正確なターゲティング
  3. 少ないトラフィックとコストでテスト
  4. 情報の表示位置
  5. コピーライティング
の5点。
ネガティブキーワードに注意:
検索エンジンを使ったり、文脈やブロードマッチによってネガティブな、広告効果のないキーワードになる可能性をよく検討する。またログ分析ツールやキーワードアドバイスツールを使ってそのようなものがないか検討する。
正確なターゲティング:
タスクリストを作り、じっくり計画すること。
テスト:
1日単位でチェックする。またロングテールに対応してキーワードやページを用意すること。
情報の表示位置:
title, meta, h1, p, フッターなどにもキーワードをちゃんと入れること。
コピーライティング:
検索者に質問を投げかけるタイプ(何々ですか?など)は有効。またライティング時にもキーワードが入っているかどうかチェック。

【Analyzing & Converting SEO Traffic】

Speaker: Lauren Vaccarello, lv logic
このプレゼンテーションはGAを使ってサイト改善をするトピックで、一般的なお話。4つのポイントがある。

  1. コンバージョンするキーワードを調べ、最適化する。
  2. 直帰率が高いキーワードを調べ、改善する。
  3. PVが高いがコンバージョンしないキーワードを見つけ、なぜ何もアクションを起こさないのか調べる。
  4. ブランドワードとノンブランドのワードで別のアドバンスセグメントを作って、それぞれのセグメントにおける行動の違いに注目して分析して調べる。

Speaker: Craig Hordlow, Red Bricks Media
検索者の動機を読む。クエリを意味から分類して動機ごとにセグメント化し、セグメントごとに分析する。

  1. product/service(製品とサービス: 運動靴)
  2. comparison/quality(比較と質: ランキング、激安)
  3. adjective qualifier(形容詞的な言葉: 白い靴)
  4. intended use(意図された使い方: サッカーシューズ)
  5. vendor/manufacurer(ナイキ サッカーシューズ)
  6. location(位置、住所: パンプス サンフランシスコ)
  7. action request(行動の要求: パンプス 買う)
  8. instruction(指示: 靴修理)
  9. definition(定義: 確定申告とは)
  10. problem(お悩み: 大きいサイズ 靴)

上記10種類の動機から、ペルソナを作成。

次に、サイトに来訪しているキーワードを動機から大・小のセグメントに分類。各セグメントごとに、エントリーページを検証。
各動機ごとに、成功している動機を失敗している動機を分析する。失敗している動機については、エントリーページを分析し、ユーザーに伝えたいメッセージがあるかどうか、説得力があるか、価格や性能の点でそのセグメントを満足させられるか、いろいろ詰め込み過ぎていないかなどを検証する。

マイクロセグメンテーション→ロングテールのテール部分はよりコンバージョンに近いと考えられる。

Speaker: Richard Zwicky, Enquisite
93%の検索トラフィックは1ページ目から来ている。
2ページ目のワードも重要。ここはSEO的にも競合が弱くなってくるため、重要なワードについてはSEOのランディングページを調べ、セグメントごとに対策を行う。

ポテンシャル=(1-キーワードによる来訪セッション数/検索エンジンからのセッション数)(そのキーワードの1セッションあたりの平均PV)(そのキーワードの1セッションあたりの滞在時間)(1-そのキーワードの平均直帰率)

地域ごとに2ページ目のキーワードを検討。地図にマップして調べるのがよい。
※安川注、このEnquisiteは面白い、オーガニック検索の分析ツールです。GAのアドバンス・セグメントと少し似てますね。

【301 Redirect, How Do I Love You? Let Me Count The Ways】

Speaker: Carolyn Shelby, CShel
インデックスされているページのリストを取得してリスト化。またバックリンクのあるページには印をつける。
移行時にはそれらを管理して、ちゃんと移行されているかどうか確認する。

※安川注、このスピーカーの方はサイトを移行する際に、一気に移行して少しトラフィックが落ちることを許容する前提で話していたようです。トラフィック下落が許容できるとなると、小規模サイトなのかも知れません。
通常は移行計画で、旧URLと新URLの共存期間を作り、新URLへのアクセスが十分になってから旧URLを301すると思います。

Speaker: Stephen Spencer, Netconcepts
PPTをダウンロードさせて、それを高速で説明。
基本的にはRewriteRuleと正規表現についての標準的な説明。
※安川注、来場者はマーケッターがほとんどなのであまり理解していないかも?

Speaker: Jordan Kasteler, SearchandSocial.com
ソーシャルメディアのリンクをSEOに生かそうというトピック。事例は
http://www.mustangevolution.com/20071210606/
※安川注、リンクバイトなどを含むちょっと微妙な内容。

Speaker: Jonah Stein, ItsTheROI
リダイレクトの種類、特に302, 303, 307について。
※安川注、細かい内容でほとんど知る必要のない内容だと思います。

| トラックバック(1)

トラックバック(1)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: SMX West 2009 メモ2

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://sem.kwhunter.com/mt/mt-tb.cgi/16

SMX Japanとか開かれないですかね。 続きを読む