今までGoogle Analyticsは、新機能がリリースされても、バグが直っても、十分な告知を行ってこなかった。でも、今回は、リリース前に告知を日本語で準備し、きちんとリリース日にお知らせを出してきた。
これは、とても大きい進歩だし、Google Analyticsのチームにとっても、それだけ大きい事件なのだろう。
とはいえ
「Google Analyticsは機能が盛りだくさんでわからん」
というのが僕らの本音だ。
ユーザーとの距離は、遠くなってしまった気がする。その差を一歩でも縮めるためにも、新機能を少し噛み砕いて説明してみたい。
一応、今回の取り上げるのは、まずとても重要な3つとその他で説明する。
- 目標数20個への拡張からさらに進歩
- ユーザー定義の拡張からさらに進歩
公式には「マルチカスタム変数」 - インテリジェント機能とアラート機能
公式には「Analyticsインテリジェンス」
と「カスタムアラート」 - その他、携帯アクセス解析機能など
目標4つが20個になり、到達ページ数と滞在時間が目標にできる
今回の目標の機能拡張は、目標のセットが4つになり、そのセットごとに5個までの個別の目標を割り当てられる。
4x5の合計20個の目標が設定できるようになった。
単純に数が増えたのもうれしいが、「閲覧ページ数」と「滞在時間」が新たに目標として設定できるようになっている。これが実は大きい。
ショップならいざ知らず、企業サイトやブランドサイト、ニュースサイトやブログ、SNSといったサイトは、明確な目標URLがないことがほとんどだ。その場合、何ページをユーザーが見たのか、という見方が有効だ。ユーザーの動線シナリオがある程度描ければ、最低5ページは見てもらいたい、という目標が描ける。

ここで僕が作った画面例は、目標のセット2をすべて「到達ページ数」にして段階的に見えるようにしている。
3ページ以上、4ページ以上、5ページ以上、と段階的な閲覧ページ数を新しい目標セットに割り当てておくことで、サイトの進化や成長にもぶれずに、閲覧ページ数の目標を継続して計測できる。

アドバンスセグメントと合わせれば、入り口ページや、ディレクトリごとに、別々の目標を管理するなどのきめ細かな指標管理にも応用可能だ。
閲覧ページは多く、滞在時間は短く、という考え方で、満足度を上げるようにサイト改善をしていく、という解析の仕方もできるようになった。

カスタム変数は「色づけおまとめ」サービス
「ユーザー定義」という機能があって、これは訪問者に色づけして、長期間分析することができる機能だ。
たとえば、資料請求した人に「資料請求」という「ユーザー定義」の色づけをしておけば、その人たちの何割が、その後「申し込み」まで到達したか、を見ることができる。
しかし、従来はここまでだった。
便利なので、「料金ページ」を見た人を別の色にしようとか、「会員」にログインした人をさらに別の色で管理しよう、としても、最後のマーキングがどんどん上書きされてしまう仕様だった。
今回の拡張で、このユーザーへの色付けが5色まで拡張できるようになった。
「資料請求した人」「会員でログインした人」「料金ページを見た人」こういった印をユーザーに付けられるようになった。
以下のような追加のコードを、ページやクリックに割り当てれば良く、結果をレポート画面の [ユーザー] → [ユーザー定義]で見ることができる。
pageTracker._setCustomVar(
1, // 割り当てるスロット番号。最大5まで
"User Type", // 分類の単位。この例はユーザー種別ごとに分類
"female", // 値。この例は会員属性の女性と男性で分ける
1 // 1はユーザーごとの色づけという決まり
);
pageTracker._trackPageview();
さらに、ここにセッションレベルのカスタム変数と、ページごとのカスタム変数が加わった。
英語のドキュメントを読むと、難しそうだが、「ページビュー」や「セッション」に色を付けて人間がわかるように管理する機能だ。
普段はURLでわかりにくいページビューという単位を、人間が管理しやすいようにグルーピングして「カスタム変数」という色を付ける。
たとえば、このWeb担当者フォーラムで解析するなら、執筆者ごと、分野ごと、関連タグごとに、ページレベルのカスタム変数を発行すれば、編集部が解析しやすくなる。そういった変数でつけたグループごとに、利用状況、コンバージョンとの連動などを解析することができるようになる。
少しわかりにくいし、イベントトラッキングと混乱しがちだが、グーグルらしい構造化が、よくできた素晴らしい機能だ。
僕は、今回の中で、この機能がもっとも強力だと感じている。
「ユーザー」「ページビュー」「セッション」こういった無味乾燥でわかりにくい単位を、現場の人間が管理しやすいように変えてくれる機能だからだ。
インテリジェンスは今後も拡張していくぞ
インテリジェンスは、アクセスの変動を自動的に感知して、その原因まで分解して見せてくれる機能だ。頭のよいGoogle君が、自動で検知して見せてくれる。
単純にアクセスが増えた、というだけでなく、増えた入り口ページはトップページが主で、参照元はYahooの増加が影響しているよ、というのをひと目で示してくれるので、効率よく解析作業ができる、という仕掛けだ。
一方、カスタムアラートは、備えつけの「自動のアラート」じゃ物足りないよ、という場合に、自分で指標を駆使してアラートを設定できる。
「日本代表」という検索キーワードが5%増えたら、僕にメールを教えてね、という設定ができるのだ。実際に届いたのが、以下のようなメールだ。文面についてはまだ修正の余地がありそうだが、Google Analyticsにログインしていれば、すぐにメールからアラート画面へ直行できる。
Google Analytics ユーザーの皆様へ
「Analytics インテリジェンスからリクエストされたカスタムアラートは、下記の表のとおりです。詳細を確認したり、カスタム アラートの設定を変更するには、Google Analytics アカウントにログインして、Analytics インテリジェンスのページにアクセスしてください。」
期間 アカウント プロファイル 説明
2009年10月21日 UA-XXXXXX-1 日本代表が5%以上になる
Google Analytics をお客様のウェブサイトの改善にお役立ていただければ幸いです。
Google Analytics チーム

この機能は、おそらく今後も拡張を重ねていく機能の一つで、今後のGoogle Analyticsの核となる機能に成長するだろう。
携帯のアクセス解析はまだまだ様子見
Google Analyticsがいよいよ携帯版を出した!
とTwitter的にはもっとも重大なニュースだが、現場の視点で見ると、「まあ、ちょっと落ち着いて」という段階だ。
まだパイロット版で、画面もわからない。
通常のGoogle Analyticsの[ユーザー]のメニューに[携帯]か[モバイル]というメニューが追加され、PC版と同じようにレポートが見える。その点はとても利便性が高い。
ただし、自分のサーバーにソフトをインストールしなければ動作しないやり方なので、ちょっとハードルが高い。PC用のようにページにコードを設定すればそれだけでOKというわけにはいかない。
PHP、Perl、JSP、ASPXに対応しているが、Rubyは未対応だ。
日本独自で拡張される点は頼もしいが、はたして日本の携帯事情に、どこまで肉薄できるか、その点はお手並み拝見だ。
現在、英語版のコードを覗くことができるが、プログラムを見る限り、日本の携帯はドコモしか入っていない。ベータ期間中のフィードバックを受けて、格段に良いプログラムを見せてくれることを期待したいが、日本のモバイル特有のクッキーもジャバスクリプトもない世界の、技術的な障壁を、どこまで超えてくるかは未知数だ。
米国は iPhoneとAndroidが主なターゲットだろうから、クッキーもジャバスクリプトも大丈夫な世界だ。しかも、キャリアのゲートウェイも通過しない。この辺の日米の事情の違いをどこまでキャッチアップできるだろうか?
クッキーの無い世界で、はたして、「セッション」という単位が綺麗に見えるのか? 期待しつつ見守りたい。
その他かゆい所に手が届く機能満載
残りは箇条書きとして書き出しておこう。
- サイト内検索の文字化け解消
これは、リリースになかったが、サイト内検索は、これまでUTF-8以外は文字化けしていた。これが、9月15日に解消されている。サイト内検索は、改善するとビジネス効果が高いので、おまけとして付け加えておく。
ただし、9月15日以前の文字化けは直っていないそうなので、注意が必要だ。 - ユニークユーザーの分析
参照元ごと、キーワードごとに、ユニークユーザーがわかるようになる。ヤフーから100人で、「インプレス」というキーワードは10人、というのがわかるようになる。
まずはカスタムレポートだけで使用できる。 - アドバンス・テーブルフィルタ
これがもっともよく使う機能だろう。使ったもの勝ちの機能だが、典型的な例として、「直帰率の高い順に並べてキーワードを見るけど、でもセッション数は100以上のものだけで見たい」といったことができる。SEOのキーワード分析には重宝しそうだ。
日本語の画面ショットをつけておく。

今回、アユダンテ株式会社は、Google Analyticsのチームから日本初の「Google Analytics 認定コンサルタント(GAAC)」の認定を受けた。それでわかったのは、世界中の公式コンサルタントと、かなり密なコミュニケーションが行われていることだ。
Google Analyticsの米国のチームは、認定コンサルから、要望を吸い上げて、スピーディーに対応していく、少数精鋭のチームのように見える。
Googleの数あるプロジェクトの中でも、このGoogle Analyticsが今後の市場に与える影響は大きい。いよいよエンタープライズ用として勝負できる迫力が出てきた印象だし、さらなる進化に向けて、チームは、まだまだ、やる気満々な感じだ。今回の機能拡張は、「ゴング」が鳴った感じさえする。誰と戦う気なのかはさておき、、、、
※この記事は、Web担当者Forumに掲載された「Google Analyticsが大幅バージョンアップ。マルチカスタム変数、インテリジェンスほか新機能を解説」を、権利者様の承諾の下転載しています。



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