Search Marketing Expo West 2010、アメリカ西海岸で開催される最もポピュラーかつレベルが高いことで評価が高い検索マーケティングのコンファレンスへ、今年も参加しております。
リアルタイムで聞いたことをメモしているだけですので多少読みにくいところもあるかと思いますが、ご容赦いただければ幸いです。
なお、メモの中では【】内がセッションのタイトルで、Speaker:とあるのはそのセッションで話した人の名前と分かる範囲での所属です。
【Steve Ballmer Keynote】
※Danny Sullivan(D)がSteve Ballmer(S)にインタビューする形式
- D: Bingはマーケットシェア#1の地位を米国で取るつもりなのか?
- S: 今後成長させていく。#2に甘んじるつもりはない。長いスパンで挑戦していく。
- D: Yahoo!は生き残るのか? それともなくなるのか?
- S: いや、Yahoo!のプラットフォームにはBingを使っていくが、Yahoo!にはかなりの自由度が約束されている。Yahoo!もBingも#1を目指していく。
- D: Googleはどのような点で広告主を独占しているのか?
- S: Googleは強い立場を利用して広告主を囲い込んでいる。
- D: 中国での戦略はどうか?
- S: Googleはどうするか分からないが、中国市場ではBaiduがリードしており、それは今後も同様で、Baiduとのパートナーシップを組むしかない。Bingにどのような影響が出るかは、少し時間が必要だ。
- D: FirefoxのデフォルトエンジンにBingを売り込んだらどうか?
- S: いい考えだし、売り込んできている。多くのパートナーがあったほうがよい。
iPhoneについて、iPhone Bingアプリは多くのポジティブなフィードバックをいただいている。
現時点でビジネスとして十分なボリュームの検索がiPhoneからきている。しかし、他のモバイルプラットフォームも十分である。 - D: Windows Phone 7の検索はどうなるのか? ユーザーに選択させるのか、有料で他のエンジンもアクセスできるよう載せてあげるのか?
- S: キャリアが絡むので複雑である。
- D: Bing for Androidアプリは?
- S: Bing for Blackberryは作ったが、Androidもキャリアが絡むので複雑である。
- D: 検索ビジネスについて、MSはどのくらいの規模を考えているのか?
- S: 成長させ、#1になるところまであきらめない。
- D: Twitterは買わないのか?
- S: 分からない。彼らとはよいパートナーシップを結んでいる。Twitterは独立した会社として信頼され、ビジネスをしている。
- D: Facebookについては?
- S: やはりよいパートナーシップだ。
- D: Bingの今後の改善については?
- S: Bingについては、UIの面、および検索意図に合わせたアクション(注:旅行の予約などを指す)を実行できるという点で成功してきた。これからは細かいワードでの関連性や情報の最新性などもさらに強化する。
- D: 検索ビジネスの改善機会はどこに?
- S: アクションをユーザーのニーズにより即した形で提供すること。Wolfram Alphaのように、ユーザーのクエリに対し構造化された、表の形で情報を整理して返してもよい。
↓ここから先は会場(A)からの質問
- A: キャッシュバックプログラムについては?
- S: 興味深い結果が得られている。MSとしては継続していく予定であり、改良していく。
- A: Windows Phone 7ではライセンス料($7.25)がかかり、Googleは無料にしているが?
- S: Appleと同様、複数のレベニューストリームを確保するつもりで、無料にする予定はない。
- A: Windows Phone 7におけるアプリケーションはWindowsアプリじゃなく、HTML5になるのか?
- S: HTML5もアプリケーションの一種だ。どのようにアプリを作るか、の問題。
- A: Windows Phone 7におけるFlashとSilverlightはどうか?
- S: Silverlightには今後も投資していく。PCではSilverlightが40-50%に導入されている。Windows Phone 7ではクリスマス時点ではスケジュールの問題から、Flashをサポートしないが、今後サポートする(現在動いている)。宗教的な問題(=Flashが嫌いだから)ではない。WindowsアプリやHTML5アプリも重要だが、Flash/Silverlightも第三のプラットフォームとして重要視している。
- A: モバイル機器でのPPCは本当に有効なのか?
- S: クリックする人は確実にいる。大事なのは、広告をどのようなデザインで、広告とオーガニックをどのように表示するか。
【Search, Domaining & Direct Navigation】
Speaker: Monte Cahn, Moniker.com
- 2009年、1億9200万ドメインがワールドワイドで登録、15%の成長
- ccTLDは7860万で19%の成長
- .com, .cn, .de, .net, .uk, .org, .info, .eu,. .bizの順で登録数が多い
- より年配者がインターネットにアクセスするようになり、ドメイン名の重要性は増したと言える。
Monikerという会社。
ICANNのレジストラでトップ10に入っている。SnapNames=削除されるドメインをオークション形式で入手するマーケットプレイスも所有。
ドメイン名は資産と考えるべき。
2タイプある。シンプルなリダイレクトにするのか、ブランドのゴールを目指す情報ポータル的なものか。
基本的に1ワードや2ワードのドメイン名は全てなくなっている。アフターマーケットの市場で取得すること。
DomainNameWire.com、DNJournal.com、TheDomains.comあたりが最新情報を掲載しているサイト。
Speaker: Jeremiah Johnson, Sedo.com
一般名詞のドメイン名は、それなりのドメイン名より45%多くクリックを誘導できる。
Fort Worth(テキサスの一都市)にあるフラワーショップは4つの一般名詞ドメイン名を用意しただけで、47%の売り上げ向上につながった。
resumes.com、2008年に452,248UUを獲得しているが、"resumes"のCPC単価の平均は$1.08だった。
→このスピーカーは、どちらかと言えばミスタイプというより高額な一般名詞ドメインを取得せよ、というノリ。
Speaker: Andrew Beckman, LocationMedia
アクセス解析からキーワードを洗い出し、キーワードでドメインを登録する。
アクセス解析からリファラーを洗い出し、流入数が多くコンバージョンの多い流入元のドメイン名を検討。
スペルミス、複数形、.com以外の同一名など。
特定のバーティカルに有効なように、複数のドメイン名を用意して対策。
ドメインの価値を測定するのは難しいが、キーワードとコンバージョンをアクセス解析から予測する。GoDaddyはドロップされたドメインのトラフィックを表示してくれる。
Speaker: Michael Kahn, Performics
キーワードの調査にはキーワードツールを使う。ではそのキーワードの.comバージョンはどのくらいのトラフィックを得ているか?25,000ドメイン名が毎日expireしている。
自社のブランドの別名や、ミススペルなどのドメイン名を購入し、301リダイレクトをかける。
逆に、ドメイン名が検索されることもある。その場合はPPCを購入してトラフィックを失わないようにする。
ドメイン名のトピックとは外れるが、vanity URLにも注意。FacebookやTwitterのハンドル名は1ドメインなので、取られてしまうと損害が大きい。twitter.com/dennysは台湾人が取得している。
【Not Your Father's AdWords: The New Google Ad Formats】
Nicholas Fox: Director, Product Management, Google
AdExtentions→AdWordsに新しい機能を追加するもの
(1) Ad SitesLinks
4件のディープリンクが通常のAdWordsの結果の下部に表示される
パフォーマンスは30-40%のCTR増加となり、今までGoogleが試したAd Formatのどれよりもインパクトが大きい。
(2) Product Advertising
商品画像と商品価格などが表示される
Google Merchant Center Feedと連携
Product ExtensionsというタイプのものはAd Extentionsなので、今まで通りキーワードに合わせて表示され、CPCが適用される。
Product Listingと呼ばれるタイプのものはCPA型で、Google Merchant Centerデータを使ってデータフィードから広告をGoogleが自動的に選定して表示する。課金は実際にコンバージョンが起こった時点。
(3) Local Ads
地図や電話番号を表示する。
チェーンのレストランやカフェなど、店舗検索のような機能を広告上で実現できる。店舗情報をあらかじめフィードしておけば、自動的にGoogleマップの上でアイコンで店舗が表示される。
(4) Comparison Ads
細かい数字を伴う比較もAdWordsの機能だけで実現できる。現時点の例としては、住宅ローンの複雑な見積比較、クレジットカードのお得度比較などのデモあり。条件検索、ドロップダウンリスト、ソートとフィルタなどは自由にできるよう。
Speaker: David Szetela, Clix Marketing
SiteLinksについての解説。
4リンクまで、T1でしか表示されない(他にもいくつか条件あり)、自動的に表示、30-40%のCTR増加。SiteLinks対象のサイトに選ばれると、広告キャンペーンの設定画面にAd Extensionsを利用できるチェックボックスが表示され、各文言とリンク先の設定画面も用意される。
SiteLinksとProduct Extentionsは同時に一つの広告に表示できる。
Product Extentionsについての解説。
この機能はもうベータではなくリリースされている。Google Merchant CenterでフィードをGoogleに送信し、Ad Extentionsの設定画面でGoogle Merchant Centerアカウント番号をリンクする。表示される商品はGoogleが選択する。
Product Listingsについての解説。
画像、リンク、価格を表示するもの。やはりMerchant Centerベースだが、こちらはCPAベースでCPCではない。Google Affiliate Networkに入会しているか、またはCJやLinkShareでもよい。
新しいトラッキングも用意される。「+」記号をクリックした回数なども見られる。
最後に、リードジェネレーションタイプのサイトの場合、リードの獲得までAdWords側のフォームに入力させるようなタイプをテストしている。この場合、広告主のサイトにはトラフィックは流入せず、AdWords内にある専用のページでデータを収集できる。
Speaker: Cory Nielsen, Mercent
※ショッピングフィードマーケティングのプロ
Googleで商品を検索しようとしているユーザーの25%が商品検索を利用している。
フィードを一つ作成し、三つの広告を出す(Product Extentions, Product Listings, Product Search)。
PPC、アフィリエイトマーケティング、ショッピングフィードの担当者がコミュニケーションを行う必要が出てきた。
Product Listing→GAのトラッキング変数を使用して効果測定が可能(CPAなので)
Product Extentions→AdWordsでコストが測定される(CPCなので)
他のショッピングフィードからの売上なども含め、Product Listing Adsの売り上げに占めるシェアは11%に達してきている。
Google Product Searchは年間30-50%成長している。
Product Listing Adsはそれに加えて21%売り上げを伸ばしている。
例→「ugg boots」でZapposが22%のSERPS面積を抑えている。
SERPを独占するtips
- Product Listing Ads - GAでカテゴリレベルコミッションを設定する
- Product Extensions - キーワードを追加することによりCTRが1.7倍に
- GPS OneBox - Google Product Searchのトラフィックの実に80%がOneBoxから来ている
【Keyword Research: Beyond The Ordinary】
Speaker: Christine Churchill, KeyRelevance.com
キーワードカレンダーを作る。
カレンダーとは、毎年いつごろ・何月・何月何日に実施されるイベントに対して、有効なキーワードをまとめたもの。これがあることにより、マーケティングスタッフやPR、コンテンツ担当などが同期して動くことができる。
シーズンやイベントに合わせたキーフレーズでコンテンツを作成し、それをずっと継続して利用できるようにすること。
タイミングが来たら、すぐリリースできるように準備しておく。
Speaker: Taylot Pratt, Raven Internet Marketing Tools
キーワードを探すときはキーワードツールを使うが、それ以外のキーワード発見のためののヒントのセッション。
ステークホルダーへのインタビューでヒントを得るだけでなく、カスタマーサービス担当や秘書などにも、どんな言葉で顧客が問い合わせしてきたかを聞いてみるとよい。Google SERPSやwikipediaなどをキーワードツールにかけてみるのもよい。これにより新たなキーワードを発見できる。
Speaker: Stoney deGeyter, Pole Position Marketing
# 特筆すべき内容なし
Speaker: Alex Cohen, ClickEquations
検索キーワード調査はする必要がない(注、極論だと思います)。検索キーワードのマイニングが重要。
オーガニックの検索キーワードを使ってキーワードをPPCで購入。
Microsoft Ad Intelligence。Containsツールを使う。
Speaker: Cady Condyles, RKG
ECなどにおける、プロダクトに関するキーワードの選び方について。
製造元やカテゴリ、製品名のほかに、色・サイズ・素材・SKU・カタログIDに加え、製品名のミススペルや同義語も含めるとよい。また、在庫に合わせてビッドを調整(ビッドを下げるか、取り下げる)すると、広告の無駄打ちが少なくなる。
よくある間違い。
自動的にキーワードリストを作成すること→無理。
ロングテールやプロダクトを表すキーワードをイグザクトマッチで購入すること→キーワードの人気度がそこまで大きくないので、ロングテール部分で重要なシェアが取れない。
競合のキーワードを買う→注、これは微妙な問題です。他社に依頼してもさほど差のないタイプのサービスに付いては競合のブランドキーワードから、ある一定のコンバージョンが見られます。
【Ask The Local Search Engines】
Speaker: Mikko Ollila, Bing Local
Bingは意思決定エンジン。フライトの予約を簡単にできたり、画像を使って簡単に商品の検索が可能。
Bing Localについて。一般的にローカル検索の満足度は低いが、Bingは競合と比較してさらに、ローカル検索の質が低いと考えている。
ローカル検索では、正確性、カバレージ(範囲)、深さ(レストラン、フライトなど重要なセグメントが存在)、幅(サーチする内容、ユーザーが欲している情報の質)が重要。
Speaker: Carter Maslan, Google Local
2013年までに、ローカル検索の内のモバイルの割合は28%から35%まで成長すると予測
LBC(ローカルビジネスセンター)に登録することで無料でGoogleマップに情報の掲載ができる。
Googleマップに掲載されている情報は、オーナーの提供したオーソリティ情報、ぐるなびや食べログなどのパートナーから送信されるデータフィードがメイン。そのほか、検索エンジンがクロールをしていて、比較的高い確度で「このエントリ(会社名など)に対して、このページ上の情報がオーソリティっぽいと考えられると思います」
Speaker: yelp
yelpには9百万件のレビューがある(米国のイエローページ)
2900万の月間UU
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