今年のSMX West、最終日にあたる3日目のキーポイントをまとめたメモです。
【Keynote - The State Of The Search Union】
Moderator: Chris Sherman, Executive Editor, Search Engine Land
- Speakers:
- Vanessa Fox, Contributing Editor, Search Engine Land
Avinash Kaushik, Analytics Evangelist, Google Inc.
Misty Locke, President, Range Online Media & Chief Strategy Officer, iProspect, Range Online Media / iProspect
David Roth, Director of Search Engine Marketing, Yahoo! Inc.
- (C) CaffeineはSEOにどのような影響を及ぼす?
- (V) インデックスが早くなったりなどの変更はあるが、大きな影響がSEOにあるとは思えない。
- (A) 最近の半年でWebMasterToolsの機能追加を行ってきたが、それによって多くの人をサポートできるようにしてきた。
- (C) Yahoo!はサーチにコミットしているようだが?
- (D) もちろん。ディスプレイにもサーチにも力を入れている。プラットフォームのゴールとしてはAdCenterプラットフォームを使うことになっている。
今後も行動ターゲティングや地域ターゲティングなど新しい広告商品の開発に力を入れていく。 - (C) ソーシャルがサーチをリプレイスするという考え方についてはどう思うか? 今後18か月で何が起こるか?
- (V) 自分のターゲットがソーシャルを使っているならそれは使う必要があるが、サーチの重要性は変わることはない。
- (M) キャンペーンを実施計画する際、サーチは多くの手法の中で最も重要かつ大きな手法となるが、ソーシャルやリアルタイムと連携させることによってサーチの効果を最大化することもできる。
- (D) 検索エンジンがソーシャルを取り込んでいくことはY!社内でも重要なことになってきている。
- (A) 動画の普及によってラジオのスターはいなくならなかった。各チャネルは、全体のマーケティング戦略ポートフォリオの中で、得意分野に合わせて活用すべきだ。
- (C) マスから個への配信に変化することによる情報オーバーロードにどう対応させるのか?
- (A) 無理に大声で人に伝える広告手法はなくなっていく。サーチはもっと効率的だ。相手にものを知ってもらったり影響を与えたりする手法はどんどん変化している。
- (C) ソーシャルの時代になり、個人の情報が共有されるようになった。政府などが今後介入してきたときに何が起こると思うか?
- (D) 法律は重要だが、政府が検閲を強化するなどは問題外だ。ちゃんと人々を教育し、何が安全で何が危険なのかしっかり伝えていく必要がある。例えばCookieは危険じゃないとか。
- (C) グローバル市場においてサーチマーケティングはどう広がっていくか?
- (V) まず対象となる相手・市場をよく知る必要がある。ビジネスチャンスは大きい。
- (A) イタリアやブラジルなどのコンベンションなどに参加すると、そこにも優秀なマーケターは多くいる。それらの国にもとても多くの消費者がいる。本質的に重要な変化を起こすためには、単にUSのコピーを作るのではなく、現地に合わせたものを考えるべきだ。
- (C) モバイルは来ているのか?
- (D) その通り。USでは家庭の20%にスマートフォンが入ってきている。
- (C) モバイルの普及によってサーチマーケティングは変化するか?
- (A) 音声入力で行き先を探すのもサーチの一種だ。音声が普及すると、文字入力はしなくなる。サーチのマーケティングに置いても、音声に対応していく必要がある。
【Landing Pages & Multivariate Testing To Increase Conversions】
Speaker: Joel Hall, Product Manager, Marin Software
多変量テストではある程度の期間を取り、90%の信頼性まで待たないと正確な成果は測定できない。
Speaker: Khalid Saleh, President, Invesp
コンバージョンの最適化を行う際に、ランディングページだけに注目してはいけない。
チェックアウトボタンのところに返金保証や最低価格保証を入れることによって、カート放棄率が35%改善した例がある。
Web Site Optimizerを使う場合、1-6週間のテスト期間と、1シナリオあたり75-100コンバージョンが必要となる。
他のサイトで活用できたテクニックは、自分のサイトでコンバージョン率改善につながるとは限らない。マーケットセグメントやブランドの違いが主要因。
最初にしっかり分析し、ページではなくプロセスを改善せよ。
Speaker: Scott Brinker, President & CTO, ion interactive, inc.
画面のプロモーション領域やボタンの形などをテストするのは比較的簡単だが、画面フローやデータ項目などをテストするのは困難が伴う。
サイト内の最適化においては、全ユーザーをターゲットにして最適化を行う。
ランディングページやマイクロサイトはA/Bテストを行うのに最適な環境。システムコストがかからないので低費用で大きな効果が出せる。マルチステップのランディングページを使い、1ステップ目でセグメントを分けて、セグメントごとにテストを行うと効果的。
ランディングページ・マイクロサイトの最適化は、流入トラフィックをセグメントで絞り込んでいるため、対象となるユーザーのみにタイトに絞り込んだ最適化が必要。
Speaker: Lance Loveday, CEO, Closed Loop Marketing
第一印象は重要。1/20秒で信頼を得る必要がある。
その後、6-8秒で自分が何者であるか、紹介したい内容について説明するチャンスがある。
【Ask The Search Engines】
Moderator: Danny Sullivan, Editor-in-Chief, Search Engine Land
- Speakers:
- Arnab Bhattacharjee, Senior Director, Yahoo! Search Technology and Engineering, Yahoo!
Matt Cutts, Software Engineer , Google Inc.
Sasi Parthasarathy, Program Manager, Bing, Microsoft
- (M) SEOレポートカードを試して欲しい。AJAXクロール、WebMasterToolsに別のアカウントからのアクセスを許可する機能などもリリースしている。
- (D) Googleにアクセスできなくなることがあるが、どのような場合か?
- (M) Class Cサブネット範囲内にマルウェアや自動化クエリを送信するクライアントがあると、そういう処理を行うようになっている。
- (D) 全ページをSSLにしてもよいか?
- (M) httpのほうが好まれるということはあるが、一貫性を持って、どちらかにして欲しい。
- (S) そう、一貫性は重要。
- (D) HTMLじゃないオブジェクトをキャッシュしないで欲しい。
- (M) robots.txtでディレクトリを切ってもいいはずだが、HTTPヘッダーにもロボットが見るヘッダーがあるので、metaタグを付けられない画像などのオブジェクトに付与すればよい。
- (A) 同様。
- (S) 同様。
- (D) WordPressブログに日付を入れるのは辞めて欲しい。
- (M) ユーザーは日付が好きなようだよ。URLも見ているし、コンテンツ内部も見て日付を付けている。完全に外すオプションはない。
- (D) AJAXによる検索結果の表示は完全にリリースされているのか?
- (M) まだ完全ではない。IEではまだだ。
- (D) ページランクスカルプティングについて
- (M) アルゴリズムによって、nofollowを付けたから何かが大きく変わるということはないように調整されている。そのため、nofollowを多用してページランクスカルプティングを行っても何の効果もない。
トップページに近いところからリンクすることが重要。そんなことをしている暇があるならよいコンテンツを作っては?
copyrightとかにもnofollowは付ける必要はない。 - (A) Y!ではよいコンテンツからリンクをもらっていることが重要で、ページ内でnofollowなど細かい調整を行っても意味がない。
- (D) PageRank9のページから5つの商品をリンクするのと、10個ではどう違うか?
- (M) もちろん5のほうが、それぞれのページがGoogleで重要視される。検索エンジンはユーザーが見る目で見ているので、多くの情報が1ページに記載されていれば、1つの情報の価値は下がる。
- (A) PageRank的なものは、検索エンジンの見ている指標の一つでしかない。コンテンツや外部からのリンクやテーマなども重要。
- (D) クロスドメインcanonicalなどのステータス?
- (S) ドメイン内canonicalは2010年3月末をめどにロールアウトする予定。クロスドメインcanonicalはサポートしない予定。
- (A) ドメイン内canonicalはサポートするが、クロスドメインcanonicalはサポートしない予定。ドメイン内canonicalはまだ完全にはロールアウトされていない。できればcanonicalは使用しないで欲しい。
- (M) クロスドメインcanonicalもサポートしている。基本的にアルゴリズムはcanonicalで指定されたことを信用するが、404ページなどが指定されたりした場合には無視することもある。サイト構造を改善してcanonicalを使わないのが理想。
- (D) 大きいサイトが有利ということはあるか? 自分のサイトはオーソリティだと思うが、Wikipediaが上位に来ている。
- (M) 常にそうだというわけではない。runnning shoesというワードでは、例えばだが、runningshoes.comというサイトが1位で、Wikipediaではない。小さいサイトでも十分上位に表示されるチャンスがある。
- (S) アルゴリズムだ。
- (D) 今までAJAXが使えなかったので、疑似静的ページで対応してきた。今後はAJAXクロールに対応させたほうがいいのか?
- (M) 今までうまくいってるなら、わざわざ変更する必要はない。
- (S) AJAXクロールには対応検討中。
- (D) Flashの状況は?
- (S) まだ実験中だ。
- (M) Flashについては、Flash内部からテキストを取り出す処理を行っている。PDFも同様だが、OCR的な処理を行っている。FlashではOCR的な処理は難しい。これからサイトを作るなら、Flashクロールに依存したサイトにはしないで欲しい。
- (D) 301を設定しているつもりだがキャッシュが壊れている場合の対応は?
- (M) Fetch as Googlebotでチェックして欲しい。
- (D) 来年もSMXに来る必要はあるのか?(Y!に対して)
- (A) Yahoo!はこれからもサーチにコミットしていく。一部が確かにマイクロソフトの技術になるが、Y!がなくなるわけではない。
- (D) アルゴリズムがBingになるとインパクトはあるか?
- (A) 検索結果はBingと同じになる。
- (M) 順位も全く同じ?
- (S) 検索結果も順位も同じ。ただ、検索のユーザーエクスペリエンスは違う。
- (D) コンテンツの重要な部分をページの上に置き、CSSで下にレイアウトするのは効果があるか?
- (M) あまり多くの影響はない。SEOのことを知らない人もWebページは制作している。そういう人が素晴らしいコンテンツを作り、重要なことがページの下部にあったらそれはちゃんとヒットさせたい。コンテンツの内容に注力して欲しい。
- (A) ページのナビゲーションセクションとコンテンツセクションは分離して見ている。上下にそれほど影響はない。
- (D) リアルタイム性を高めるためにWebサイト側から更新通知のプッシュはあり得るのか?
- (M) 確かに必要性としてはプッシュはある。Webサイトが更新されるたびにpingをもらうのは確かによい方法だけど、スケーラビリティやスパムを考えるとすぐ実現はできない。現時点では時期についてはコメントできない。
- (S) フレッシュネスの度合いに応じて、インデックスを分けている。
- (D) Google/Bing/Yahooで、キャッシュ禁止を指定したら、何か怪しいと認定されるのか?
- (M) 特にそういうことはない。ただ、リンクのアンカーにテキストが入っていれば、サイトがキャッシュ禁止でも、検索結果には表示したいと考えている。robots.txtで禁止しても同様。
- (S) 同様。
- (A) 同様。
- (D) サブドメインなどを使用して大量に露出することに対しては?
- (A) 同じドメインのサブドメインが大量に露出することはない。
- (M) 通常、一つのサブドメインやホスト名については2件までのクラスタリングを行っている。他のサブドメインについては、ある程度の多様性を出すためにある程度までは許容はしている。
- (D) JavaScriptのクロールは?
- (M) JavaScriptに依存しないようにして欲しい。
- (D) Caffeineについては?
- (M) 現時点では1データセンターのみ。これから数週間~数か月でロールアウトする予定。次はヨーロッパの可能性が高い。
【The B2B Search Marketing Challenge】
Moderator: Gordon Hotchkiss, President and CEO, Enquiro
Speaker: Gordon Hotchkiss, President and CEO, Enquiro
※B2B購入を行うペルソナを理解しようというテーマ。
B2B購入においては、リスクの認識が重要。コストもリスクの一部で、コンシューマと異なり、コストに対しては非常にシビアに見られる。
コンシューマにおいてはリスクは製品・サービスそのもの、B2Bにおいてはリスクは購入行為そのものである。B2Bのリスクには個人的なリスク(企業内におけるキャリアなど)と組織的リスク(取引相手企業が存続するかどうかなど)がある。
B2B購入を行うペルソナは、コンシューマより大きなリスクギャップを持っている。
Speaker: Barbara Coll, CEO, WebMama.com, Inc.
サーチマーケティングは流入・リードとコンバージョン・CRMの全てのステップに関連している。
購入者にある程度の教育を行わなければならないようなサービス(例、VMware)では、Virtulization Basics(仮想化の基本)などのように、購入者が学ぶことのできるコンテンツを使用する。
YouTubeなども活用し、"VMware"という製品名は使わない。ただしこのコンテンツが上位に来るためには数年かかるケースも。
Googleが認識していないようなミススペルにも対応するとよい。SEOでミススペルワードを対策。
競争率の高いキーワードを獲得するため、比較を使うとよい。HPのプリンターの例では、EPSONとの比較のページを用意し、競合商品ごとに比較コンテンツのランディングページを作成する。HP Designjet 130とEpson Stylus Pro 4000の比較(http://www.hp.com/sbso/expert/competitive-DJ130vsESPSON4000-ADI.pdf)がよい例。
Speaker: Tami Dalley, Director, User Experience Optimization, Acronym Media
B2BにおけるWeb分析のチャレンジは、セールスサイクルが長かったり、セールスチームを巻き込む前にリードをフィルタリングしなければならなかったり、顧客が自社の製品の専門用語を知らないことなどから始まる。
販売につながる「アシスト」を正しく評価するために、アシストに価値を割り当て数値化する。
- どのオンライン行為がリードにつながったかを特定する。動画やホワイトペーパーのダウンロード、無料トライアル、チャットや製品ページが見られたことなど。
各アシストとリードを時間軸に出力して、グラフの形を比較する。例えば製品に関する動画を見たコンバージョンは、リードのグラフと形が一致しているか? - リードにつながったことを確認できたら、それらの行為を数値化する。直感で値を入れるのもよし、統計的に数値化できるのであればそのほうがよい。
- 1動画閲覧=0.26リードにつながることが分かれば、リードを100点として、1動画閲覧は26ポイントと仮定する。キーワード分析を行う場合には、キーワードごとに、リードの数だけで判断するのではなく、各アシストのポイントを合計して、その合計で判断すべき。これにより、リードにつながった行為を集合的に数値化することが可能になる。
Cost per Value Point=CPPをCPLの代わりに使うことにより、PPCの最適化も可能。
Speaker: Scott Brinker, President & CTO, ion interactive, inc.
ITとマーケティングとは違う。
例えばホワイトペーパーをダウンロードさせるのにアカウントを作成させたりするのは意味がない。business intellifence softwareで検索した時のOracleの事例はひどい。逆にSASの事例ではリードとして必要最小限の情報を取ったら、すぐダウンロードページに移行させている。
ランディングページでコンサルティングを提供できる。medical billing softwareで検索してathenahealthの事例。まず閲覧者が医者なのかオフィスのスタッフなのかコンサルタントなのかエグゼクティブなのかを選択させ、それぞれに合ったアドバイスや問い合わせフォームを使用する。
ランディングページのステップは2-3ページと少ないほうが一般的によいが、必ずしもそういうわけではない。事例として10ページもの質問を投げかけた後に最後にフォームを埋めるタイプのランディングがあったが、その質問にどんどんユーザーが引き込まれるコンテンツになっていたためユーザーのエンゲージメントが高く、その結果として40%以上のコンバージョンを得たことがあった。
【Social Media, Search & Reputation Management】
Speaker: Rhea Drysdale, COO, Outspoken Media
各ソーシャルメディアサイトのプロファイルページは、ブランドキーワードで上位に入りやすい。
Twitter, Facebook, MySpace, LinkedInの各サイトのプロファイルページは最適化し、きちんとした内容を書いておくこと。これにより、10位以内にネガティブサイトが入る確率を下げることができる。
レピュテーションマネジメントの観点から、サイトリンクにカスタマーサービスが出ているとクレームになりやすい。Webマスターツールで削除することができる。
クラスタリングで検索結果に二行表示できると、悪評を書いているサイトが10位以内に存在しても、一つは追い出すことができる。
様々なソーシャルメディアでの、自社や自社ブランド名のアカウントを取得しておくこと。
ブランドのモニタリングにはツールがいろいろ存在する。活用すること。
Speaker: Tarla Cummings, SEO/Social Media Manager, Location3 Media
サーチレピュテーションマネジメントとは、トップ10検索結果にネガティブな検索結果を出さないことである。
Twitter, Facebookなど以外にも、YouTube・Flickrもソーシャルサイト。ネガティブな動画もランクすることがあるので、チャンネルやプロファイルをきちんと作成し、ブランドキーワードを含めておく。ブログもブランドキーワードで作成する。
ブランドドメインを作成する。[brand]info.com, [brandvideos].com. [brand]nnews.comのようにする。
各ソーシャルメディアのプロファイルを相互に可能な限りリンクし、それらが上位に表示されるようにSEO施策を実施する。
定期的にネガティブな検索結果が入り込んできていないか、トラッキングすること。
Speaker: Matt Tuens, CEO, AcuVox, Inc.
※能動的・積極的なレピュテーションマネジメント
オーディエンスとつながり、関係を作り上げるとよい。オープンで、真剣なところを見せ、信頼を勝ち得ることでより強力な関係構築ができる。
何か問題が起きる前に、早くレピュテーションを構築しておくこと。
自分のサイト、ソーシャルサイト、その他その業界で主要なサイトなどで、オーソリティ的なコンテンツを提供することによって、レピュテーションを上げることができる。よりポジティブな意味でリンクが張られたり、コンテンツが作成されたりするようになる。
Speaker: Conrad Saam, Marketing, Avvo
※かなり激しい部類の悪評にどう戦うかの解説。